2024/09/30
単純な殺人事件を端緒にした謎解きモノかと思っていたら、人間の多様性と内面の多面性を、法廷という舞台装置を使ってあぶり出した作品でした。 事件自体は現場検証等であっさり解決すると思いきや、確たる実証ができず。そこから被告人、被害者、息子などの内面を抉っていく過程が、法廷を通して行われていきます。...
Video · 2024/09/18
公開時に話題になり、観たいと思っていました。 実話です。今もこのときにあんのように苦しんでいる人、子供がいると思うといたたまれません。 確かに主役のあんを演じた、河合優実さんの演技は凄かったです。 台詞が極端に少ない中、ドキュメンタリーかと思わせるほど、リアリティーがありました。多々羅役の佐藤二朗さんも良いです。...
Book · 2024/09/11
いわずもかな、第169回芥川賞を受賞した作品。 作者も言っているように、怒りとルサンチマンを放出した作品。 冒頭から衝撃的。そう来たかという感じ。障害者の作品という色眼鏡をかけてから読んでいる自分に気づきます。 つまり、自分の中で、障害者と性の乖離がその衝撃を作ったのでしょう。 それを作者も狙って攻撃してきたと思います。...
Book · 2024/09/06
あのオカルト情報誌「ムー」で取り上げられていたので、トンデモ系なのかもしれませんが、死後の世界は誰も見たことがないので、言いたい放題なものになるのかと思いましたが、原子力工学博士が書いているからか、立証されている理論をあげて、関連付けているので、その理論は分かりませんが、説得力があるように思えましたが、こういうものは疑って読むとつまらないので、SFを読んでいるつもりでいたほうが楽しめると思います。 私も唯物的な考えから、「死ねば無になる」 もう少しロマンチックに言うなら「永眠=永遠に寝ていられる」から楽だろうなぁ。っと言ってもその「楽」さえ感じられないでしょうが。 火葬場で燃やされたら煙となって舞い、細かな粒子がまた地上に落ちて、それがどこかに付着して、食べられるなり、土や植物なりに吸収されたりして、そういう意味では「輪廻転生」でもするのかな、くらいの考えでした。 それに、死後の世界に対しては無関心でした。私が死が怖いのは、自己消滅への恐怖とか、死後の無への恐怖ではなく、死に至るまでの痛みや苦しみが怖いのです。俗に言う「ピンピンコロリでしたら怖いも何も無いですからね。 読み始めるとまず、疑問を投げかけられます。その疑問が微かに自分も持っているものだったので、まずはそこに食いつきました。特にその中の「シンクロニシティ」を最近二回ばかり体験していたので、あれは何なんだという思いを持っていました。 それに霊体験などは、私は経験したことはありませんが、よく聞く話ですし。それが何なのかは立証されていません。 確かに世の中、科学では証明できないことがまだたくさんあります。この本にも出てくる、私の好きな哲学者、スピノザだったと思いますが、偶然は、現時点で解明されていないだけで、解明されればそれは必然になる、みたいなことも言っていました。古くは天動説、地動説もそうですものね。その繰り返しで科学は進歩してきました。ですので本書の「ゼロ・ポイント・フィールド」も「仮説」と強調されています。それがとても興味深く、一気に読んでしまいました。 前出のスピノザの哲学「神即自然」の汎神論。「唯一の実体は目的を持たない」ここでいう実体とは「神」つまり「自然」。その「実体」を「ゼロ・ポイント・フィールド」に置き換えたとき、自分にとっては腑に落ちる仮説もありました。 以前読んだ「FACTFULNESS」でも今までの歴史をデータに基づいて見ていくと、案外良い方向に向かっているというようなことが書かれていたと思いますが、自然の一部である人間も試行錯誤しながらも、人類や自然、地球、そして宇宙全体にとって、三歩進んで二歩下がるように良い方向に進んでいくのではないかと思わせてくれます。 今、それを象徴するのは「AI」でしょう。AIはWEBが構築された、たかが30年くらいのデータの蓄積から成り立っていますが、「ゼロ・ポイント・フィールド」は宇宙が誕生した時から138億年のデータが蓄積されているということです。つまり、やっと人間は、「ゼロ・ポイント・フィールド」のデータ蓄積のシステムを使い始めたというところでしょうか。AIもこれから進化していくように「ゼロ・ポイント・フィールド」も進化していくのでしょう。「進化」という概念ではないでしょうが。 私に限らず「人間って愚かだ」と思われる時が多々あると思います。今でも相変わらず、戦争をし、犯罪を犯し、差別し、憎しみ合い、妬み合うし、生物学的にも、食べなきゃいけないし、排泄しなきゃいけないし、なんでこんな面倒くさい体の作りになっているんだろうとか。多分私たち人間はまだまだ「ゼロ・ポイント・フィールド仮説」で考えれば、現在、過去、未来という時系列で考えると、まだまだ遠い未来の途中で、進化の途中なのでしょう。 例えばこの先、人類が絶滅したとしても、また再生するのかもしれません。その形は違っても。それも一つの学習として学び、138億年もかからずに現地点まで進化し、また更に変化していくのでないでしょうか。これも古代ギリシャの哲学者、ヘラクレイトスの言葉「万物は流転する」のでしょう。カントの「定言命法」も想起させますね。進化を続けて、全人類共通の普遍的な道徳に全人類が従っていけば、より良い世界になるのでしょうか。だけど、ストレスもなく、トラブルもなく「より良い世界」「全人類共通の幸せ」を得た時は、人類は均一化、均質化してしまわないのでしょうか。最終的にはまた一つになってしまうような……。 「ゼロ・ポイント・フィールド仮説」で考えると、私個人だけでなく、すべての人間の失敗、苦しみ、悩みなどのネガティブなこともデータとして蓄積されて、ポジティブと掛け合わされて、よりポジティブな方向へ向かう要因ななるということですから、無駄なこと、無駄な人間はいないとということですね。皆がこの「ゼロ・ポイント・フィールド仮説」を信じれば、平和になるでしょうね。まぁ、現在でも皆が「人には優しく」「隣人を愛せ」「自分事として考えろ」「人類みな兄弟」などを実践すれば平和になるのでしょうけれど、今は無理なのでしょう。しかし「ゼロ・ポイント・フィールド仮説」で言えば、それも将来は可能になるのではないかと思わせます。宇宙全体が「幸福」になってもまだ変化するのでしょうね、その先とはどういう世界なのでしょうね。それは今私達が思う「幸福」であって、もっと違う「幸福」あるのでしょうか。
Book · 2024/09/05
2022年下半期の芥川賞受賞作品。 久しぶりの小説。 飽きっぽい性格なので、読書のジャンルはころころ変わります。 政治、経済、哲学、歌集~など。一つのジャンルにハマると、しばらくはその関係書を読み続けるのですが、小説はそのサイクルから外れていました。...